今長谷
ネイチャーガイドの今長谷です。この時代に容易に行けないイメージがある場所があります。白い大陸、最後の大陸「南極大陸」。南極点到達を競った探検家たちやアムンセンの初到達の過酷な記録、昭和基地の厳しい寒さの映像。旅行には無縁とも思えるがゆえに、そこに生きる動物や地球上では桁違いの氷の世界に引き付けられます。今や世界中の観光客やカメラマンが安全に目指すことができる南極への旅の道中の様子、さらに憧れの大陸に到達するまでをネイチャーガイド的視点で写真満載でお届けします。
南極大陸を目指す
それはまだ見ぬ大陸への準備に期待感でいっぱいになる時間
南極大陸への出発点 アルゼンチン・ウシュアイア
今長谷
南極条約で守られる南極大陸はどの国にも属さず、学術的な研究以外で長期間滞在することは許されません。住民はいない土地ですから、一般的な港や空港、宿泊施設もありません。したがって南極大陸への旅は最寄り(といっても1000kmが最短)の港から宿泊可能な船で訪れて、船上生活をしならがら上陸用のボートで上陸を繰り返すことになります。
船旅の出発点は南極大陸に最も近いアルゼンチンのウシュアイアの街。World's End (世界の果て)の街から始まる旅とは本当に特別な旅の響きがします。
南極大陸への船旅
それはエクスペディションクルーズ
今長谷
ウシュアイアの港を出航して南極大陸を目指す船旅。それは大型の豪華クルーズ船の船旅ではありません。一度の上陸人数に制限(100人)がある南極大陸に乗船定員が数千人の豪華な船で行っても仕方ないのです。エクスペディションクルーズ=探検クルーズで南極へ向かいます。船内生活には一般のクルーズにはない時間があります。大陸上陸で持ち込む物、カメラ、バッグ、衣服にまで掃除機がけが行われます。終わったらサインまで!それは南極の自然を守る旅行者の誓いの儀式のようなものです。
南極大陸への船旅
南極での大自然との出会いに備える
今長谷
南極大陸への2日間の船旅。のんびりとクルーズを楽しむ時間であるとともにそこは未知なる大陸との時間に備える時間です。エクスペディションクルーズですから多くの勉強会が開かれます。写真の撮影方法の講義があることも。一つ一つを学び南極への期待は高まる一方の二日間です。
南極大陸への船旅
ドレーク海峡
今長谷
ウシュアイアと南極大陸(南極半島)の距離は1000㎞。ウシュアイア出航後はビーグル水道を通り、やがてドレーク海峡へ。
一切の島影もない船旅ですが、船の周りには海鳥が飛びます。大型のアホウドリが舞う姿は感動的です。
南極大陸への船旅
大陸が迫ることを知る巨大な氷山
今長谷
夕暮れのウシュアイアを出て3晩をドレーク海峡で過ごします。そして4日目の朝、船は南極半島の沖合のサウスシェットランド諸島へ達し、いよいよ南極に接近します。我々を最初に出迎えてくれるのは海に浮かぶ巨大な氷山です。南極の大地で生まれ、海に流れ出た間違いない南極の大自然の一つです。
南極大陸への船旅
ついに南極大陸へ
今長谷
氷山の確認後、その瞬間が来るのはそんなに長い時間ではありません。それまで水平線だけだった先に黒く鋭い稜線を持つ山々と、真っ白な雪や氷の大地が姿を現します。
ついに南極大陸(南極半島の沖合のサウスシャエットランド諸島)に到達。ウシュアイアを出航して4日目の朝のことです。気づけば海には南極のシンボルともいえるペンギンが朝の猟に忙しい姿も。
南極に着きました!
今長谷
いかがだったでしょうか?
ウシュアイアを出てからでも4日目、日本を出てからなら6日はかかるのが南極への道のりです。遠いです。しかし人生で考えたら一瞬。そこは間違いなくこれまでの人生で見たどこにも似た所はない場所です。その遠さも価値を高めるとさえ感じるのが南極です!-->次回はいよいよ南極大陸に上陸し、そこに住む野生動物たちの魅力をお届けしますのでお楽しみに!