大潮の季節のモンサンミッシェル&パリ街歩き

海の上に浮かぶ孤高な古城のような姿に憧れて、世界中から年間250万人とも言われる観光客が訪れ、日本人にとっても訪れたい世界遺産で常にトップ3に入る大人気の観光地。それがフランスのモンサンミッシェル修道院です。

復活したモンサンミッシェル
本来の姿が見たい

8世紀の聖堂を起源に持つモンサンミッシェルですが潮の干満が大変激しい海の中に建っており、多くの人が潮に巻き込まれて命を落としたため、1879年に陸地との間に安全な堤防が築かれました。ところがこの堤防のために潮の流れが変わり、島の周りには砂が溜まった結果、海に浮かぶ美しい姿を失っていました。

元の姿を取り戻すべく堤防を崩し、潮の流れを復活させるために近代的な橋を作る工事が2014年7月に完了したという知らせを聞き、大潮という最も迫力のある風景を楽しめる日に合わせて、本来の姿を確かめに行きました。

また、個人的に3年半住んだフランスを訪れるのですから、パリらしい表情を求めた街歩きも楽しんできました。

フランスらしい田舎にあるモンサンミッシェル

フランスの玄関口・パリへは成田からの直行便で12時間余り。
さらにフランスの北東部・ブルターニュ地方とノルマンディー地方の境目の海岸の沖合いに浮かんでいるモンサンミッシェルへはパリから車で4時間半、新幹線TGVと路線バスなら約3時間半の距離です。

私は鉄道の旅が好きなのでフランス国鉄が世界に誇る新幹線TGVを利用しました。パリの始発駅のモンパルナス駅は日本の東北とも呼ばれるブルターニュ方面への出発駅。多くのお土産などを抱えた姿が目立ち、どこか上野駅のような雰囲気です。日本の新幹線のように高速で走る列車の車窓風景は農業国・フランスそのもの。どこまでも黄金色の農地が続きます。ブルターニュの玄関口のレンヌ駅で、一般の路線バスに乗りかえてモンサンミッシェルへ。

到着直前に沖合いに浮かぶモンサンミッシェルが海から聳え立つように見えた時はやはり感動しました

完成した橋を渡って中世の世界へ

全ての観光客は陸地側とモンサンミッシェルを結ぶシャトルバスに乗って、新しく完成した橋を渡って訪れます。橋を渡り始めると海に高く突き出た塔のように見えていた修道院は次第に大きく、横広い三角錐のような形に見えてくるから不思議です。

間もなくシャトルバスは島の入口に到着。何とも懐かしいような磯の香りが海の中にいることを感じさせ、いよいよモンサンミッシェルに入場します。モンサンミッシェルは海に顔を出していた岩礁の上に建てられた聖堂を起源に、現在は立派な修道院になっていますが、かつては戦争の重要な戦略地であったため強固な城壁で守られています。

 

入口にはかつての大砲や難攻不落の城門など物々しいものが並び島の数奇な歴史を物語ります。それでも今は世界的な観光地で多くの観光客で修道院へ向かう歩道は大混雑。左右にはレストランやお土産物屋で大賑わいです。先ほどの磯の香に代わって名物のオムレツを焼く匂いがあちこちのお店から漂ってきます。このオムレツ・・美味しいかどうかは正直なところ微妙です。

車も通らない歩道は観光客で大混雑。人を掻き分けながら進むと次第に坂道、さらに階段となり修道院の入口に到着です。
見上げるように、覆いかぶさるように立つ修道院は迫力満点です。

まさに西洋の驚異「ラ・メルヴェイユ」 
モンサンミッシェル修道院を歩く

島の入口からモンサンミッシェル修道院への坂道と階段を歩いて入口についても安心はできません。さらに見上げるような階段が続きます。喘ぎながら登っているのですが、左右そして頭上にも歴史を感じさせる重厚な建物が続き、疲れを感じさせません。

やがて階段を登りきると海抜80mの「西のテラス」、そして修道院付属教会前の広場から広い海、さらに海が広がって最高の気分です。海からの風で汗も引きます。教会の上には身長4.5mの大天使「ミカエル」の像が金色に光っています。せめぎ合うように密集した修道院周りの建物、そして海の風景、その中に建つこの教会を中心にした修道院が「驚異」を意味するラ・メルヴェイユと呼ばれることも頷けます。

教会から建物内部に入ると見どころだらけです。一つ一つ部屋の役割や建築様式を確認しながら見学します。時代の変遷に沿ってスタイルが変化した建築様式は、建築に詳しくなくても明らかに分かり興味を引きました。お気に入りは列柱廊と訳される中庭の様な場所。修道僧の憩いの場として作られ、円柱をずらしながら並べて建てたことで無限に柱が続くような錯覚を起こさせます。この建築様式によって天国を表しているという説明でした。

その他にも6人の囚人がネズミの回し車のように大きな車輪に入って廻すことで荷物を引き上げていたと言われる修道院の納骨堂など、わずか1時間ほどでも見応え十分でした。

さらなる驚異は潮の満ち引きにあり

モンサンミッシェルは潮の変化が激しく最大で15mとも18mと言われます。日本最大の有明海ですら最大6mですから3倍です。引き潮の時は18キロの沖まで引いた海が、満潮に向けてものすごいスピードで押し寄せてきます。

かつて、陸地と堤防で繋がっていなかった時代に海を渡って参拝に来ていた人が潮にのまれて命を落していたほどです。しかしながらモンサンミッシェルが海に浮かぶほどの潮が満ちるのは大潮を中心にした時期だけです。その他の時期に行くと干潟が広がるだけで絶景への期待を裏切られることになります。

今回訪れた日はまさに大潮。お昼過ぎに着いた時は海というより干潟に浮かぶ風景でした。しかし、昼間の修道院観光の後に地元の海産物や羊料理、そして名物のリンゴ酒の夕食をとっていた間に島の周りの様相は一変しました。我々は海というより川の中を進む船のように激しい流れの中でした。満ち潮が到達したのです。

満潮時刻に合わせてモンサンミッシェルと陸地を結ぶ橋の上に立てば、ライトアップされたまさに海に浮かぶ「西洋の驚異」。
自然と人が共同作業で作った絶景中の絶景と言えるでしょう。

モンサンミッシェルの中にあるホテルに宿泊した翌朝早く、一度引いていた潮がまた満ちて来ました。
春のまだ肌寒い朝、湯気を立てながら一気に満ちて行く潮の動きは、豪快なのに幽玄という表情を見せてくれました。

一味違うモンサンミッシェルとパリの楽しみ方

モンサンミッシェルの夜を独占 島内ホテルに宿泊

フランスの観光の中心地パリから何とか日帰りで訪れることもできるモンサンミッシェルですが、往復10時間+滞在数時間というかなりハードなバスの旅になります。そこで、時の流れとともに変化する風景、さらにそれが大潮の季節となると数時間の滞在ではモンサンミッシェルならではの姿を見る事が出来ないと考えて、現地で1泊する旅にしました。

しかも、いつでもその変化を確認できて、夜景も好きなだけ楽しめるモンサンミッシェルの島の中に数件しかないホテルに宿泊しました。ホテルと言っても島全体が歴史舞台そのものですから古い建物を利用したホテルです。設備や清潔感は十分でしたがお世辞にもゴージャスとは言えません。しかし、夕暮れが近づいて観光客がパリに去った後のモンサンミッシェルは中世の街に戻ったような雰囲気に包まれました。雑踏のようだった通りは猫が横切る足音が聞こえてきそうなほどひっそりとして、人影も殆どありません。

 

世界的な観光地を独占したような優越感に浸ることができました。島を取り囲む城壁に立っても聞こえるのは海から吹く風の音だけ。見上げればライトアップされて黄金に輝く大天使「ミッシェル」が西洋の驚異の街と海を見おろしていました。

街の素顔が見える パリの街歩き

世界の観光地の最高峰と呼ばれるパリ。この街の楽しみ方はそれこそ数えきれないほどあるでしょう。風景も芸術も、食事など全てが魅力的な街です。以前この街で暮らしていた者としては、地下鉄など発達した交通機関を利用して街やパリに住む人の姿を見ながらの観光街歩きを楽しみました。

一般的にパリで外せない観光地と言えば、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ大通り、ノートルダム大聖堂、オペラ座などです。また、是非訪れたい美術館としてはルーブル、オルセー、オランジュリーがあげられます。

 

これらは全てパリの中心部ですのでいずれも地下鉄と街歩きで訪れることができます。しかし、パリらしい風景はその観光地と観光地の間を歩くと見えてきます。パリジェンヌが花屋さんやケーキ屋さんでお買い物をし、朝のカフェではパリジャンが立ったままエスプレッソを飲み、お昼時はクロッケマダムというパンと卵の料理を食べ、夕方には仕事を終えて歩道に置かれた椅子でビールを楽しむ場所になっていました。

天気が良ければ公園のベンチで一休み。
街中ではアフリカや中東系、さらにアジア系の小さな食料品店も軒を並べ活気に満ちています。いろいろな人種の人々も地下鉄には乗っていてパリの住民として生活していることが良くわかります。多くの民族を受け入れて多様で高い文化を築いたパリの姿がそこにありました。

パリでシャンソンを楽しみたい

昔はパリのあちこちで庶民の音楽として楽しまれていたシャンソンですが、今では観光色の強い大きなホールくらいでないと生で見るのは難しくなっています。いわゆるフレンチカンカンで有名な「リド」や「ムーランルージュ」などのキャバレーです。

しかし、今でも伝統的なシャンソンを楽しめるお店が芸術の丘・モンマルトルの一角でその日も営業していました。
「オ・ラパン・アジル」というシャンソンバー(酒場)です。130年を超す歴史を持ち、貧しい画家だったピカソやユトリロ、ロートレックなどが足繁く通っていた酒場でもあります。今でもお店の中には彼らが寄贈した絵画が無造作にかけてあります。

食事もダンスもなく、あるのは一杯のアルコールのお酒とシャンソンのみです。夜も更けた9時過ぎになってプロのシャンソン歌手が赤い光に包まれた狭いホールの中心のテーブルに座り、ピアノとアコーディオンという簡単な楽器の生演奏をバックに歌い始めました。その周りを客が囲んで聞き入ったり、一緒に歌ったり、夜中過ぎまでそれは続きました。
シャンソンを聴きなれていなくても本来のシャンソンを存分に楽しめた夜でした

美食の国・フランスでバラエティ豊かな食事を探す

フランス料理というと正装して、マナーに注意しながらフォーマルにという食事や、ホテルのレストランでという食事もありますが、肩ひじ張らずカジュアルに楽しむ庶民的な食事もフランス料理の楽しみです。

ホテルを出れば色々な種類のレストランが並んでいますので、これを楽しまない手はないということで街に出かけます。伝統的なスランス料理のレストランはたとえカジュアルでも少し敷居が高いと感じ、ビストロと呼ばれる庶民的なレストランや、飲み物一杯から食事までとれるカフェ、軽食やお茶を楽しむサロン・ド・テなどスタイルからお店を選びます。

また、フランス料理を離れて中東やアフリカ、アジア系の食事など違う文化のレストランも美味しそうな匂いで誘ってきます。
お腹が空いたらその時の気分で食べたいものを探して楽しむのもパリらしい街歩きの楽しみです。

パリの旅は一年中ベストシーズン!? モンサンミッシェルは大潮狙いで!

楽しみ方もいろいろなパリではベストシーズンを一言で決めるのは難しいです。

明るい陽射しが戻る3月~4月は徐々に暖かくなり、梅雨もない5月~6月は街歩きには抜群の季節。

7~8月はかなり気温が上がりますが、緯度が高いパリでは昼間の時間が長くたっぷり観光を楽しめます。

9月~10月になるとぐっと気温も下がり、11月~2月の長い冬が訪れます。しかし、食事が美味しいのが秋から冬で、有名なジビエ(野生動物の肉)の季節も9月下旬から2月です。その時々で楽しめるのがパリと言えるでしょう。

モンサンミッシェル観光の目的が修道院ならシーズンはなくなりますが、海に浮かぶ風景を楽しむのなら大潮の季節を狙うべきです。大潮以外の季節でしかも短時間の滞在では干潟が広がるばかりで海の姿は全く見ないことになります。

フランスのトリビア

フランスは日本人には不思議満載の国。彼らにとっては日本が不思議な国とも言えます。
言葉も最近は英語を話す人も増えてきてはいますが、フランス文化にも言葉にも誇りが高いフランス人で英語を話す人は少数派です。従ってフランス語をご存じないと驚く場面も多々あります。

例えば洗面所の蛇口の表示。英語ならお湯がH(HOT)で水がC(COLD)ですが、フランス語ではお湯がC(CHAUD)で水がF(FROID)。お水と思ってCを捻るとお湯が出ることになります。その他にも日本で言う1階はRC、2階は1階という呼び方ですし、数字の数え方を覚えるのも至難の業です。

また、日本人にはなじみ深い「オー・シャンゼリゼ」という歌ですが、最初の「オー」を感嘆詞と理解して「おー!シャンゼリゼ」と感動しているように思われがちですが、実はその意味は「シャンゼリゼ通りで」・・・つまり場所を意味する前置詞と定冠詞が合わさった短縮形で、感動の意味は含まれていません。

最後にもう一つ。危ない話。フランスの車は日本の逆の右側通行で感覚的には反対側から車が走ってきます。さらに歩行者も安全と判断したら信号を無視して横断歩道を渡ります。これにならって日本人歩行者が信号を無視して横断歩道を渡り始めたら、確認した反対側から来た車にはねられるということになりかねません。しかも日本のように歩行者優先主義ではなく、加害者は信号を無視した歩行者になり、怪我をした上に車の修理費まで負担することになりますからご用心。

持っていくものリスト フランスに行く準備

一般的な旅の必需品
パスポート、航空券、お金、歩きやすい靴、めがね・コンタクトレンズ、帽子、傘(折り畳み傘)、腕時計、スーツケース、ショルダーバッグ(リュックサック)、携帯電話(スマートフォン)、コンセントプラグ、(夏以外は)暖かいジャケット、上着、長袖シャツ、半袖シャツ、ズボン(スカート)、下着、靴下、(夏以外は)手袋、帽子、常用薬、風邪薬や頭痛薬・胃腸薬などのお薬、カットバン、洗面用具(歯ブラシやヘアブラシなど)、化粧品(日焼け止め 男性なら髭剃り)、ハンドタオル(ハンカチ)、ティッシュ、筆記用具、カメラ、カメラの充電器、液体物機内持ち込み用ビニール袋、パスポートコピー、石鹸やシャンプー、ビニール袋、

フランスの旅で私が追加で持っていくもの
リュックサックはすり対策に簡単でも鍵がかかるもの、スリッパ(備え付けがないホテルが殆ど)、サングラス(紫外線がまぶしい)、リップクリーム、トイレットペーパー(備え付けがない場合もある)

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