今長谷
ネイチャーガイドの今長谷です。アジアを代表する世界遺産と言えばカンボジア北部・シエムリアップのアンコールワットで間違いありません。日本人が訪れたい世界遺産でも常にトップクラスです。160年前までは存在すら知られていませんでしたが、その美しさと驚くべき規模は世界中の観光客を魅了しています。密林の中に忽然と現れるアンコールワット、さらに規模では遙かに上回る都・アンコールトムと巨大な木に押しつぶされたような風景で有名なタプローム。カンボジアのシエムリアップの遺跡群の魅力を写真満載でお届けします。
密林の芸術 アンコールワットとアンコールトム
これぞまさにカンボジア!のタプロームの魅力
東南アジアの大王国 クメール
王都 アンコールワット遺跡
今長谷
シエムリアップは12世紀前半にインドシナ半島からマレー半島の一部までという広大な領土を誇ったクメール王国の王都でした。そのシエムリアップで160年前にフランス人によって密林の中に眠る遺跡が発見されました。それが王国のシンボル的な宗教施設だったアンコールワットでした。均整が取れた建築物と数々の芸術的なレリーフ、独特の宗教観。アジアを代表する観光地です。
城都 アンコールトム
アンコールワットとの二大遺跡と呼ばれるバイヨン
今長谷
アンコールワットの半世紀後に大きな町という意味のアンコールトムが作られました。高さ8mの城壁に囲まれ、一辺3kmという当時としては巨大都市です。その街の中心が独特の宗教観(宇宙観)で知られるバイヨン寺院。12世紀末に作られた仏教遺跡で観世音菩薩のモチーフで有名です。中に入ると複雑で神秘的な雰囲気が漂います。
自然の驚異と時の流れが作った奇跡の風景
神秘的なタプローム寺院
今長谷
個人的にはこのタプロームが最もカンボジアを感じます。1186年に東西1000m、南北700mの規模で作られ、5000人の僧侶がいた大きなお寺です。このお寺はスポアン(榕樹・ガジュマル)で建物や石垣が押しつぶされた姿がそのまま残されています。建物を踏みつけるような木、血管のように建物にからまった木、建物の姿が見えないような巨大な木、そして木と木の間にわずかに見える仏像。自然の力とカンボジアの歴史の長さを強く感じます。
今長谷
いかがだったでしょうか? カンボジアは東南アジアの中では豊かで、深く長い歴史を持つ国です。スポアンの木で覆われたタプロームを見れば、修復されたアンコールワットやアンコールトムがどのような姿で発見されたかも想像できます。均整のとれた建築技術と一目で価値が分かるようなレリーフの数々。驚きの連続ですが、どことなく親近感を感じさせるのは仏教建築物もあることなのかもしれません。