スイスの世界遺産一覧【文化遺産・自然遺産】

スイスの世界遺産一覧【文化遺産・自然遺産】

スイスには、世界遺産となっている場所が多く、観光に訪れる人々の心を掴んで離しません。
世界遺産には、文化遺産・自然遺産があり、スイスの長い歴史を知る手がかりになるものもあります。
今回は、スイスの世界遺産について、詳しく紹介しましょう。

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スイスの世界遺産【文化遺産一覧】

スイスの世界遺産(文化遺産一覧)には、下記があります。

  • 「知の聖地」ザンクト・ガレン修道院
  • 聖ヨハネ・ベネディクト会修道院
  • ベルン旧市街
  • ベリンツォーナ3つの古城と街を囲む城壁
  • ラヴォー地区の葡萄畑
  • レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線
  • ラ・ショー・ド・フォン/ル・ロックル時計産業都市計画
  • 湖畔住居群
  • ル・コルビュジエの建築作品

それぞれの特徴や見どころ、歴史について解説します。

「知の聖地」ザンクト・ガレン修道院

まるで有名魔法映画のような「知の聖地」ザンクト・ガレン修道院は、スイス北東部の町と同じ名前が付けられています。
町の旧市街の中心に建っている修道院は、1983年に文化遺産登録がされました。
ザンクト・ガレン修道院の始まりは、612年病に伏せたアイルランドの修道士ザンクト・ガレルが、療養のために庵を建てたことで始まります。
720年に、ザンクト修道士の名前が付けられた修道院が跡地に建てられ、町の名前もザンクトと名付けられました。
ザンクト・ガレン修道院では、聖書や古典の写本が盛んに行われ、印刷技術が発展してもなお行われていたそうです。
写本からは、飾り文字や視覚効果などの工夫が施されており、文字文化の変遷を知るための資料として重宝されています。
まさに、「知の聖地」と呼ばれる所以ですね。

聖ヨハネ・ベネディクト会修道院

小さな村を守るような聖ヨハネ・ベネディクト会修道院は、イタリア国境沿いの谷奥にあるミュスタイア村に建立されています。
8世紀の当時に大帝から命を受けたクール司教によって建てられてから、12世紀頃から女子修道院になりました。
外観は質素な建物ですが、20世紀に入ってから改修工事が行われた際に、壁画の下からさらに新たな古い壁画が発見され、注目を集めたことでも話題を呼んでいます。
保存状態の良好さを保った様式で建てられていることから、1983年に世界遺産に登録されました。

ベルン旧市街

砦を中心に作られた町であるベルン旧市街地は、1983年に文化遺産に登録されました。
13世紀から自由都市として発展を続けたベルン旧市街地は、住民の増加に伴いスイス西側へと拡張します。
大聖堂・石灰岩の建物が並んだアーケードは、「ヨーロッパ最長」と呼ばれるほどです。
まるで時間が止まったように歴史的な町は、中世ヨーロッパが拡大していった都市の発展モデルであると評価されています。

ベリンツォーナ3つの古城と街を囲む城壁

ヨーロッパ中央を結ぶ重要地点である、ベリンツォーナ3つの古城と街を囲む城壁は、アルプスに残った中世後期の城砦として、世界遺産に登録されました。
スイス南部の州都ベリンツォーナはイタリアとの国境まで近かったこともあり、イタリア建築が立ち並んでいます。
アーチ形の回廊・教会などは「スイスの中のイタリア」と呼ばれました。

ラヴォー地区の葡萄畑

ラヴォー地区の葡萄畑は、郊外まで続く葡萄畑の美しさで有名です。レマン湖とアルプスの山々を目前にして、テラスのように連なった葡萄畑では、ワイン造りの長い歴史と伝統が評価されて、2007年に文化遺産として登録されました。

ワイン造りは、古代ローマ時代から始まり、1000年以上の歴史と技術が受け継がれています。
現在の葡萄畑の原型は、11世紀頃に形成されたと考えられており、小さな村で守られ続けた伝統を感じられるでしょう。

レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線

スイスのアルプス大自然を感じたい場合、レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線を利用すれば、美しい景観も合わせて見られるでしょう。
自然を壊さずに人々と共存するために駆使された鉄道技術は、100年以上の時を経ても変わらぬ美しい景色と感動を観光客に見せてくれます。
アルブラ線は、アルプスの難所と言われる箇所に、トンネル・石橋・カーブなどを作り、線路の開通を成功させました。
鉄道技術の傑作と評価され、変則的な線路はまるでアトラクションの乗り物としても楽しめます。
ベルニナ線は、山岳に用いられるラック式鉄道ではなく、レールを用いた鉄道を作ったことで、当時は大きな話題を呼びました。
ベルニナ群の名峰や氷河、葡萄畑などの景色が見られるルートです。
レーティッシュ鉄道1本で、スイスの山々の雄大さを感じられるでしょう。

ラ・ショー・ド・フォン/ル・ロックル時計産業都市計画

世界でも有名な時計産業を象徴するラ・ショー・ド・フォンは、時計産業を発展させるために計画された町です。
時計産業の都市計画は、スイスの北部にあるヌーシャテル州に残っている伝統的な時計製造業と結びついています。
時計産業の伝統や知識が受け継がれ、今も世界的に有名な時計が多く、発展し続けることが評価されて文化遺産登録がされました。
ラ・ショー・ド・フォンには、国際時計博物館があります。
19世紀末に創設された時計学校の資料館として設立された経緯があり、後に博物館として一般公開されました。
展示されている時計の仕組みや資料から、身近な時計に対する知識が深まるでしょう。
子どもから大人まで楽しめる博物館です。

湖畔住居群

遥か古の歴史を知りたいなら湖畔住居群の世界遺産があります。
湖畔住居群は、紀元前5000年〜500年頃にアルプス山脈周辺の湖畔や、川辺に高床式住居を作って暮らしていたことがわかる遺跡群です。
湖畔住居群の遺跡は、自然体でありながらも良い保存状態で残っていたため、植物や衣服の繊維などの出土品が確認されています。
出土品は、ヨーロッパ石器時代・青銅器時代を生きた人々の生活や、社会を知る手がかりです。
スイスのみならず、湖畔住居群の遺跡はヨーロッパの歴史を目で見て、学ぶ文化遺産になっています。

ル・コルビュジエの建築作品

「近代建築の父」と呼ばれたル・コルビュジエの建築作品も、7カ国で手がけた17の建物が2016年に世界文化遺産に登録されています。
ル・コルビュジエとは、近代建築の三大巨匠の一人です。
スイスのラ・ショー・ド・フォンを故郷に持ち、フランスで活躍していました。
ル・コルビュジェの建築作品には、当時では珍しい鉄筋コンクリートの素材で建築した物があります。
レンガや石を積み上げて作る建物が多かったため、建築界の常識を覆し革命を起こした人物です。
また、現在の建築で使用されている「近代建築の5原則「ドミノシステム」を発明したル・コルビュジエは、日本の上野にある国立西洋美術館を建築しました。

スイスの世界遺産【自然遺産一覧】

スイスの世界遺産(文化遺産一覧)には、下記があります。

  • スイスアルプス ユングフフラウ・アレッチ氷河
  • サン・ジョルジオ山
  • スイス・テクトニックアリーナ・サルドーナ

それぞれの見所や絶景ポイントについて、解説します。

スイスアルプス ユングフフラウ・アレッチ氷河

「世界最大の美しさ」と評価されるスイスアルプス ユングフフラウ・アレッチ氷河は、スイスの世界自然遺産の一つです。
ユーラシア大陸でも大きな氷河地帯であり、ヨーロッパ最長と言われる氷河でもあります。
スイスアルプス ユングフフラウ・アレッチ氷河の地域は、5割ほどが氷河に覆われているため、自然環境や地質の保存地域となっているのです。
近年では、スイスアルプス ユングフフラウ・アレッチ氷河の気候変動・地球温暖化との関連について、進み続ける研究が注目されています。

サン・ジョルジオ山

スイスのルガーノ湖南の地方で、森におおわれた小高い山のサン・ジョルジオ山も、世界自然遺産として登録されています。
サン・ジョルジオ山では、恐竜の先祖と言われるティキノスクス、首長竜タニストロフェウスなどが発見され、注目を集めています。
当時、サン・ジョルジオ山で発見された化石群は、非常に良い状態で保存されたまま発見されました。
さらなる発見を目指す研究者も、多く訪れる場所となっています。

スイス・テクトニックアリーナ・サルドーナ

地球科学の分野で大きな意味を持つスイス・テクトニックアリーナ・サルドーナは、2008年に自然遺産に登録されました。
スイス・テクトニックアリーナ・サルドーナは、3つの州を跨ぐエリアであり、アルプス一帯の「プレート理論」の説明において、重要な地形です。
プレート理論は、「プレートの動きによって地形が形成された」という地球科学説を指します。
スイス・テクトニックアリーナ・サルドーナでは、押し上げられた地層とは逆の断層で形成されているため、造山活動の変化や影響が研究されるようになりました。

スイスの世界遺産は歴史を感じられる宝庫

スイスの世界遺産は、まだまだ多くあります。
アルプス山脈の雄大な自然だけではなく、長い歴史も併せ持つスイスの名所は人間と自然が紡いできたものです。
スイス現地に赴いた際は、ぜひ一目見てください。
今長谷
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