
バオバブを見上げ、キツネザルに近づく。マダガスカルで出会った不思議な時間

今長谷
こんにちは、ネイチャーガイドの今長谷です。
旅をしていると、「遠くまで来たな」と思う場所と、「こんなに遠いのに、どこか懐かしいな」と感じる場所があります。マダガスカルは、その二つが同時にやってくる国でした。世界的に知られるバオバブ並木、森の中を軽やかに動くキツネザルたち、赤い土の道、夕方の光、そして人の暮らしの気配。アフリカの島とひとことで言ってしまうには、あまりにも多くの表情がありました。
マダガスカル旅行で惹かれた理由とは?
バオバブ並木とキツネザルに会いたかった
バオバブ並木の見どころは?
夕陽の中で見上げる巨木は、想像よりずっと大きい
しかもその巨木が一本だけではなく、道沿いにすっと立っている。空に向かってまっすぐ伸びる姿には、かわいらしさよりも、むしろ静かな威圧感があります。足元には赤茶けた乾いた土が広がっていて、風が吹くと細かな砂がさらりと動く。西海岸の光は強いのに、夕方になるとその強さが少しずつやわらぎ、幹の表面に金色っぽい光が残るんですね。暑さの中にも、夕暮れが近づくと少し空気がゆるむ感じがあって、その変化まで含めて、あの並木は忘れがたい風景でした。
バオバブ並木の夕景が心に残る理由。
私はあの時間をゆっくり見たくて、二日間を入れていました

今長谷
あの風景を一度だけではなく、ゆっくりいろんな表情で見たくて、二日間を計画に入れていました。空の色は毎日同じではありませんし、風の感じや雲の出方で、見える景色も少しずつ変わります。せっかくそこまで行くなら、ただ写真を撮って終わるのではなく、光がやわらかくなる時間まで立っていたい。そういう気持ちがあったんです。夕方になると、まわりの人たちの声も自然と少し小さくなって、どこかみんなが空を見上げる側に回る。その空気も含めて、バオバブ並木の夕景は心に残りました。
マダガスカルのキツネザルとは?
森の中で目が合うと、急にこの島が近くなる

今長谷
森の中では、足元の土はやわらかく、ところどころ湿り気が残っています。葉が擦れる音、枝がしなる気配、遠くで鳴く鳥の声。そういう背景の中にキツネザルの姿が現れると、風景が急に生き始めるんですね。視覚だけではなく、耳と肌で受け取る動物との出会いだったように思います。
シファカとインドリの魅力とは?
跳ねる姿と森に響く声が忘れられません
シファカは、白っぽい毛並みを持つ原猿の一種で、森の中ではどこか神聖な雰囲気さえあります。ところが動き出すと、とても軽やかなんです。ぴょん、ぴょんと横に跳ねるように移動する姿は、初めて見ると本当に不思議で、少し笑顔になります。森の中の緊張感の中に、ふっと軽さを運んでくるような存在でした。
マダガスカルの森で出会うカメレオンの見どころ。
見つけた瞬間、こちらの感覚が少し変わる

今長谷
足元の土の匂い、葉の裏にこもる湿気、少し蒸した空気の重さ。そういうものの中で、小さな命がちゃんとそこにいるとわかる瞬間には、旅先でしか得られない集中があります。見つけたときの小さな驚きは、派手ではないのに、とても深く残ります。
マダガスカルの風景はなぜ懐かしい?
アフリカなのに、どこかアジアに似ていました
日本人は、完全に未知のものに惹かれる一方で、どこかに少しだけ“わかる感じ”があると、急にその国との距離が縮まることがありますよね。マダガスカルには、それがありました。遠い島なのに、少しだけ懐かしい。異国なのに、少しだけ入りやすい。その感覚は、景色だけではなく、人の気配や町の空気にもありました。だからこそ、ここは「すごかった」で終わる場所ではなく、「なんだか気になる」があとまで残る国なのだと思います。
マダガスカル旅行で心に残った暮らしの風景。
洗濯物の色まで、この国の記憶になりました

今長谷
観光のために整えられた景色ではなく、その土地で人が生きていることが、そのまま見えている。風が吹くと布がふわりと揺れて、赤土の色や空の明るさと混ざっていく。派手な風景ではないのに、旅が終わってから思い出すのは、案外こういう場面だったりします。名所ではないけれど、その国の呼吸が感じられる。マダガスカルには、そういう一瞬がちゃんとありました。
マダガスカルの食事はおいしい?
自然だけでなく、食の時間にもほっとしました
自然の中を歩いて、動物を探して、移動もある。そういう日々の中で、夕方にちゃんとおいしい食事が待っているというのは、思っている以上に大きいものです。皿から湯気が立って、ふっと気持ちがゆるむ。そういう時間があるだけで、旅全体の印象はぐっとやわらかくなります。私は、その国の自然だけでなく、食卓の余韻も旅の一部だと思っています。マダガスカルは、その余韻まできちんと残る国でした。
マダガスカル旅行の見どころは絶景だけじゃない。
時間の流れごと持ち帰りたくなる島でした

今長谷
この旅を振り返ると、もちろんバオバブ並木も、キツネザルたちとの出会いも、大きな魅力でした。でも、心に残ったのはそれだけではありません。森の奥から聞こえる声、土の匂い、夕方の風のやわらぎ、道ばたで揺れる洗濯物、どこか親しみを感じる田園の風景、そして食卓でほっとする時間。そういう細部が重なって、マダガスカルという国の印象をつくっていた気がします。
バオバブを見上げ、キツネザルに近づき、森の音に耳を澄ませる。ひとつひとつは派手すぎる体験ではないかもしれません。でも旅が終わったあとに残るのは、案外そういう静かな実感だったりします。世界にはまだ、こんな時間の流れ方をしている場所がある。マダガスカルは、そんなことを思い出させてくれる島でした。もし、まだ知らない世界を少しだけのぞいてみたいと思うなら、この旅はきっと、その期待にちゃんと応えてくれると思います。














