ギアナ高地に生息する独自の生物には不思議がいっぱいだった

ギアナ高地に生息する独自の生物には不思議がいっぱいだった

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ネイチャーガイド今長谷

ネイチャーガイドの今長谷です。

進化の過程で時が止まったかのような場所、ギアナ高地。
そこには、普段私達が接している生物とは全く異なる生物が沢山生息しています。
進化を止めてしまったギアナ高地の生物達を紹介する旅へ、一緒に行きましょう。

→私といくギアナ高地ツアーの詳細はこちら

ギアナ高地の不思議な生物達(昆虫編)

まずは、ギアナ高地に生息する変わった昆虫から紹介していきます。

  • 水生コロギス
  • オレオフリネラ
  • ベネズエラ・ヤママユガ

ベネズエラ・ヤママユガは猛毒を持っているので、特に注意が必要です。

水陸両用?水生コロギス

コロギスは、コウロギとキリギリスの特徴を合わせ持つ珍しい昆虫です。
コロギスそのものは日本にも生息していますが、ギアナ高地のコロギスは水の中でも生息できる点が特殊です。
ギアナ高地はコロギスのエサが少ないので、コロギスは生きるために水の中の藻を食べるようになったのがきっかけと言われています。

節足動物最強の毒!ベネズエラ・ヤママユガ

ベネズエラ・ヤママユガに出会ったら注意が必要です。
その毒は節足動物最強と言われていて、一度刺されると患部からの出血が止まらなくなります。
さらに、内蔵出血や脳内出血なども引き起こし、腎臓を破壊して腎不全で死に至らしめる恐ろしい昆虫です。
出会ったら絶対に触らず、出来る限りその場を離れた方がいいでしょう。
ツアーなどで観たことはありませんが・・

ギアナ高地の不思議な生物達(両生類)

ジャンプも泳ぎも苦手!オレオフリネラ

オレオフリネラは、ギアナ高地に生息するカエルです。
カエルは通常オタマジャクシとして産まれてカエルに成長していきますが、オレオフリネラはカエルの姿のまま産まれてくる点が特異点です。
オレオフリネラは後ろ足の筋肉が発達していないのでジャンプができない、水かきを持っていないので泳ぎが苦手など、カエルらしからぬ姿が愛らしいと感じます。
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オレオフリネラと一口で言っても住んでいる山に寄って違いがあります。見た目は同じですが例えばロライマとアウヤンテプイでも歩き方に違いがあります。ロライマのそれは跳ねるのに、アウヤンテプイはのそのそと歩くだけ・・みたいな。大昔に分けれて環境が歩き方にも影響したんですね

ギアナ高地の不思議な生物達(鳥編)

ギアナ高地には、以下のような不思議な鳥達も数多く生息しています。

  • アナホリフクロウ
  • ツメバケイ
  • ギアナイワドリ

特にツメバケイはジュラ紀の始祖鳥を連想させるほど独特な姿をしているので、詳しく解説していきます。

地面を走り回る?アナホリフクロウ

フクロウは通常木に止まっているのが一般的ですが、アナホリフクロウはプレーリードッグの古巣や地面の穴を棲み処にし、地面を走り回るのが特徴です。
ブラジルやアメリカのフロリダにもアナホリフクロウは生息していますが、ギアナ高地のアナホリフクロウはその愛らしい姿で観光客を魅了しています。

まるで始祖鳥!ツメバケイ

ギアナ高地に生息するツメバケイは、羽に爪がついている珍しい鳥です。
その荒々しい姿はジュラ紀に生息していた始祖鳥を思わせてくれます。
体長は約65cmほどで、日本のキジと同じくらいです。
ツメバケイは昆虫ではなく、樹木の葉を好んで食べる点も特異点です。
ギアナ高地に行った際は、太古の鳥の姿を連想させてくれるツメバケイを観賞してみてください。

オレンジ色が際立つ!ギアナイワドリ

ギアナイワドリは、体長が27cm〜32cm程度の小さな鳥です。
全体がオレンジ色~赤っぽい派手な色なので、遠目でも確認しやすいでしょう。
果実や昆虫、爬虫類などを食べ、繁殖期にはオスが求愛ダンスを踊ることでも有名です。
可愛らしい姿なので、出会えたらぜひとも観察してみてください。

ギアナ高地の不思議な生物達(動物編)

浸食と風化の歴史
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1000mの絶壁に囲まれたテーブルマウンテンの上で小型以上の動物に会うのは珍しい体験です。私は一度だけコアリクイに出会いました。彼(彼女?)もかなりびっくりしたようで、立ち上がって体を大きく見せて威嚇してました(と言っても立った感じは40cmくらい?)。かわいい顔で威圧感なし、しかも心臓の辺りを見たらドキドキしておるのは明らかでした。突然の出会いで驚かして申し訳なかったですが、貴重な経験でした。

ギアナ高地では、以下のように不思議な動物達も生息しています。

  • オリノコワニ
  • アマゾンカワイルカ
  • カボマニバク
  • アカホエザル
  • アカガオクロクモザル

それぞれの生物の特徴について詳しく紹介していきます。

ワニ科最大!オリノコワニ

オリノコワニは、最大で6.7mにもなるワニ科で最大の生物です。
背面には大きな鱗があり、太古の恐竜を連想させる佇まいですね。
皮革用の乱獲によって生息数が激減し、現在は保護対象になっています。
一見すると怖そうですが、基本的に人間を襲うことはありません。
川沿いで見かけたら観賞できるでしょう。

世界的にも数少ない淡水イルカ!アマゾンカワイルカ

アマゾンカワイルカは、ピンク色の体が可愛らしいイルカです。
アマゾン川に生息していて、世界的にも数少ない淡水のイルカとして有名です。
オスの体長は約2.8m、メスは約2.3mで、現在のカワイルカでは最も大きい種類として知られています。
前方の歯が鋭くとがっていて、エサとなる魚やカニを捕食します。
ボートでの移動の際に見かけたら観察してみましょう。
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イルカは海に住むものというイメージがありますが、中国と南米には淡水に住むイルカがいます。不思議ですよね。昔は海に住んでいたのですが、地形が変化して海から切り離された大きな湖&川に残ったイルカが淡水に順応したと聞きます。

新種発見!カボマニバク

カボマニバクは、1865年以来の新種として大きな話題になったバクです。
ブラジルやコロンビアにも生息していることが分かり、近年正式に新種として登録されました。
アメリカバクが体重約300kgなのに対して、カボマニバクは約110kgと非常に小柄なのが特徴です。
DNAを分析したところ、約30年前にアメリカバクから分化したことが分かっています。
現在バクは絶滅危惧種として指定されることが多く、カボマニバクもその対象になる可能性があります。

新世界!アカホエザル

アカホエザルは、ギアナ高地、ブラジル、コロンビアなどに生息する新世界サルの1種です。
体は赤い毛に覆われていて、大きな声で吠えるのが特徴です。
あまりの声の大きさに、数km先まで声が届くとも言われています。
主に果実を食べて生活し、群れを乗っ取ったオスが元のオスの子どもを殺してしまう子殺しが多いことでも知られています。
体長はオスが約50cm〜約70㎝、メスが少し小柄で約45cm〜約60㎝です。
標高3,000m以上の山でも生息できると言われていて、現在でも数多くのアカホエザルが生活しています。

長いしっぽが特徴!アカガオクロクモザル

アカガオクロクモザルは、ギアナ高地、ブラジル、スリナム、ガイアナなどに生息するサルです。
主に果実、種子、若葉などを食べて生活しています。
アカガオクロクモザルの体長は約55cmで、長いしっぽが特徴的です。
アカガオクロクモザルは種子を消化できないのでそのまま排出し、森林での種子散布をする役割も果たしています。
絶滅危惧類に指定されているので、運良く見かけたらそっと観察してみましょう。

ギアナ高地のカエルの謎

ギアナ高地の生物は独自の生態系と言われていますが、その理由は現地の言葉でテプイと呼ばれる孤立した台地と、地上との生態系の交配が絶たれたことが関係していると言われています。
テプイは16億〜18億年前の岩石で形成され、4000万年前〜5000万年前にギアナ高地の一部として隆起したと推測されています。
その上で生息している生物を分析し、独自の進化を測定しようとアメリカの生物学者ブルース・ミーンズ氏はとあるカエルに着目しました。

謎の多いコイシガエル

コイシガエルは小型のカエルで、カラフルな色と体のイボが特徴的です。
ミーンズ氏は複数のテプイの上でコイシガエルを採取しましたが、それぞれのテプイで生息するコイシガエルはDNAを分析した結果、それほど違いがないことが判明しました。
コイシガエルが他のカエルから分化したのは6億年前と推測されていましたが、その仮説が正しければ各テプイに生息するコイシガエルのDNAはもっと違いがあるはずだと判明します。
今回のDNA分析では、コイシガエルの分化は数年前に起きたことが分かりました。
テプイが形成されてから数万年前まで、コイシガエルはテプイから落下して地上と交配していたか、他のカエルがテプイを登ってきた可能性が浮上します。
コイシガエルの生態系は完全に解明されていませんが、その研究はギアナ高地全体の生態系の調査にも大きく関係してくると予測できます。

ギアナ高地は不思議な生物に沢山出会える場所

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いかがでしたか?

ギアナ高地には今回紹介した生物以外にも、珍しい生物が数多く生息しています。
観光でギアナ高地を訪れた際は、独自の生態系も楽しんでみてください。
ギアナ高地は登山や観光なども魅力ですが、独自の生態系を観察するのもおすすめです。

Auther: ネイチャーガイド 今長谷 啓享

自分が行って楽しいと思える旅じゃないと作らない!というポリシーで現地調査・企画・手配を行い、現地の案内まで、ネイチャーガイドとして体験型で少人数のくつろぎの旅を提供。北極圏から南極大陸まで、歴史と文化に溢れる世界遺産からヨーロッパや南米アンデスの山々まで、海外への渡航歴200回以上、パリやベルギーにも駐在経験のある旅人。元山岳ガイドの経験も活かし「自然や世界遺産が好きな方々を体験型で少人数のくつろぎの旅の世界」へ今も日々案内中。