ウユニ塩湖が世界遺産ではない理由

ウユニ塩湖が世界遺産ではない理由

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ネイチャーガイドの今長谷です。

ウユニ塩湖は、観光客も多く集まる絶景スポットで、日本人の観光客も沢山います。
広大に広がる塩湖は、この世とは思えないほどの絶景で、自然が作りだしたアートと言えるでしょう。
これほどの絶景であれば世界遺産として認められても良いはずですが、ウユニ塩湖は世界遺産に登録されていないのです。
ウユニ塩湖が世界遺産に登録されていない理由については、明確な記述などはありません。
そこで今回は、ウユニ塩湖の環境から、なぜ世界遺産ではないのか、考えられる理由を解説します。

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世界遺産登録基準について

まずは、世界遺産の登録基準について見てみましょう。

以下は日本ユネスコ協会連盟が定める登録基準です。

(i)

人間の創造的才能を表す傑作である。

(ii)

建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。

(iii)

現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。

(iv)

歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

(v)

あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)

(vi)

顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。

(vii)

最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

(viii)

生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

(ix)

陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。

(x)

学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

(引用元:世界遺産の登録基準 – 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

登録基準を見る限り、とくに(vii)については、ウユニ塩湖は当てはまっているように思います。

その他の記述についても、ウユニ塩湖は当てはまっていないとは言えません。

ウユニ塩湖が世界遺産に登録されていない2つの理由

ウユニ塩湖が世界遺産に登録されていない理由の1つとして、塩の採掘が関係していると言われています。

ウユニ塩湖の塩は、地元の人にとっては塩の採掘場になっているのです。

しかし、世界遺産に登録されてしまった場合、環境保全の義務によって塩の採掘ができなくなる可能性があります。

そのため、世界遺産に登録していないという説が有力です。

 

そして、もう一つ考えられる理由があります。

それが、ゴミ問題です。

ウユニ塩湖は絶景スポットではあるものの、観光客が多く集まるスポットにはゴミが落ちています。

塩湖に落ちたゴミは分解されず、半永久的に残ってしまうため、ウユニ塩湖の景観を損ねる原因となってしまっているでしょう。

さらに、旅行者により土が持ち込まれたことで、白い塩湖の一部は黒く変色してます。

このようなゴミ問題は、旅行者のマナーにも関係してきますが、ウユニ周辺の環境も関係しています。

ウユニの町にもゴミが落ちており、その一部が強風によって塩湖まで飛ばされてきてしますのです。

 

日本でも、富士山がゴミ問題で自然遺産に登録できなかったという問題がありました。

同じように、ウユニ塩湖もゴミ問題が関係している可能性は高いでしょう。

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そもそも有名な観光地だから世界遺産といわけではないということになりますね。ちなみにウユニ塩湖の観光の歴史自体もそんなに古いものではありません。急速に観光地化が進んでいます。ウユニ塩湖の玄関のユニの街は、まさにそれを感じる場所で急速に発展しています。

ウユニ塩湖周辺の世界遺産

ウユニ塩湖|天空の鏡|ボリビア‘・ウユニ塩湖旅行@ブループラネットツアー

残念ながら、ウユニ塩湖は世界遺産に登録されていません。

しかし、ウユニ塩湖周辺には、世界遺産に登録されている建物がいくつもあります。

「せっかくなら世界遺産を堪能したい」という人は、下記で紹介するスポットに行ってみてはいかがでしょうか?

 

一つは、ポトシ市街です。

ポトシ市街は、1987年に世界遺産に登録されました。

ポトシ市街は、人類の歴史上、重要な時代を例証するものとして、世界遺産に認められています。

元々は世界最大級の銀鉱脈があったことから注目を浴びた町で、最盛期には20万人近くの人口がいたとされています。

しかし、銀が枯渇してから人々が去ってしまい、現在は古い町並みだけが残っています。

ただ、日本では見られないような街並みなので、海外旅行の気分を味わうのに、最適な場所です。

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標高が高いウユニ塩湖ですから、徐々に身体を慣らす意味でもボリビアの世界遺産の街を観光してからウユニ塩湖へ向かうのはお勧めです。
ボリビアの席遺産を訪れることが出来るのはもちろん、高所になれたことでウユニ塩湖事態も楽しめます。但し・・ポトシは4000m近い標高がありますからご注意!

2つ目は、ノエル・ケンプ・メルカード国立公園です。

ノエル・ケンプ・メルカード国立公園は、南米ボリビア北東部にある国立公園で、2000年に世界遺産として登録されました。

大きな特徴は、豊富な動植物の生息が見られる点です。

現在は、2700種の植物と620種類の鳥類が確認されています。

広大な公園を堪能できるのはもちろん、日本では見られない動植物を見たい人に、おすすめのスポットです。

3つ目は、ティワナクです。

ティワナクは、2000年に世界遺産として登録されました。

宗教的な文化や政治的な中心地として知られており、その時代の社会や文化を指す言葉としても用いられています。

ティワナクの歴史は、古く、インカ帝国誕生のはるか昔から繁栄されてきた文化だと言われています。

ティワナクの特徴は巨石文化ですが、未だ全体の4%しか発掘されていなく、まだまだ謎の多い場所です。

ただ、ティワナク遺跡は一部復元されているものの、徹底的な破壊と風化のため、昔の面影はほとんど残っていません。

文化に触れるという点では、一度訪れてみるのも良いでしょう。

ウユニ塩湖|天空の鏡|ボリビア‘・ウユニ塩湖旅行@ブループラネットツアー

4つ目は、サマイパタの砦。

サマイパタの砦は、1998年に世界遺産に登録されました。

南米ボリビアのサンタ・クルス県オリエンタル山脈の標高1950mに位置する考古学的な遺跡で、人類の歴史上、重要な時代を例証するものとして世界遺産となっています。

ただ、多くの観光客による損傷のため、現在は内部の見学はできません。

遺跡自体へのアクセスは容易で、サマイパタの町から連絡バスが何台も出ています。

ウユニ塩湖は世界遺産ではないが景観は美しい

ウユニ塩湖が世界遺産ではない理由とウユニ塩湖周辺の世界遺産を紹介しましたが、やはり「絶景」という点では、ウユニ塩湖がボリビアのどこよりも勝っています。

ウユニ塩湖周辺で世界遺産に登録されているスポットはいくつもありますが、現在は風化してしまっている場所が多いです。

対して、ウユニ塩湖の絶景は、今もなお見られます。

ただし、解説したように、ウユニ塩湖が世界遺産に登録されていない理由として、ゴミ問題も関連している可能性があるので、観光に行く場合には必ずゴミ捨てルールを守ってください。

ウユニ塩湖は広大過ぎる場所なので、塩湖に転がるすべてのゴミを撤去するのは難しいと言えます。

その環境のなかで旅行者ができるのは、さらにゴミを増やさないことです。

塩の発掘という点も考えると、今後世界遺産に登録される可能性は低いですが「ゴミ問題がネックになって登録できない」とならないように、旅行者側がウユニ塩湖を大事にしていかなければいけません。

Auther: ネイチャーガイド 今長谷 啓享

自分が行って楽しいと思える旅じゃないと作らない!というポリシーで現地調査・企画・手配を行い、現地の案内まで、ネイチャーガイドとして体験型で少人数のくつろぎの旅を提供。北極圏から南極大陸まで、歴史と文化に溢れる世界遺産からヨーロッパや南米アンデスの山々まで、海外への渡航歴200回以上、パリやベルギーにも駐在経験のある旅人。元山岳ガイドの経験も活かし「自然や世界遺産が好きな方々を体験型で少人数のくつろぎの旅の世界」へ今も日々案内中。

今長谷
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