意外と知らない南極と北極の違い

意外と知らない南極と北極の違い

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ネイチャーガイドの今長谷です!

氷に覆われている寒い場所と言うと、南極の他に、北極の名前も挙がるでしょう。
確かに、いずれも「氷に覆われていて寒い場所」という条件は同じです。
しかし、当然ながら違いもあります。
今回は、南極と北極の違いについて解説していきます。

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南極と北極の主な違い8つ

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南極と北極の大きな違いから、誰もが気になる違い、法的観点の違いなどを紹介します。
以下で紹介するのは全部で8つです。
具体的にどのような違いがあるのか、見ていきましょう。

南極は大陸であり北極は海の上の氷

南極と北極では、「大陸であるかどうか」の違いがあります。
地図などを見てみるとわかりますが、南極は「南極大陸」とされており、北極は「北極域」とされているのです。
この「域」というのは、その周辺の範囲を指します。
つまり、南極は氷の下にある大陸であるのに対して、北極は海の上に浮かんでいる氷に過ぎないのです。

南極と北極で大きいのはどっち?

南極と北極の面積を比べると、どちらも同じ位です。
どちらも約1,400万平方kmあると言われています。
この広さは、なんと日本の約37個分です!

標高が高いのはどっち?

南極は、氷の下に大陸があるので、標高が高いです。
南極の平均の標高は、2200mと言われており、地球上で最も高い大陸になります。
対して、北極は氷が海の上に浮かんでいるだけなので、標高はゼロですね。

寒いのはどっち?

南極と北極では、南極の方が寒いです。
北極にあるシベリアのオイミヤコンの最低気温は-71℃とされていますが、南極のボストークの最低気温は、なんと-89.2℃。
いずれも考えられないほどの寒さですが、どちらの方が寒いかと言われれば、南極になります。

白夜と極夜

南極と北極には、どちらにも白夜と極夜があります。
白夜というのは、1日中太陽が沈まない日、極夜というのは、1日中太陽が昇らない日です。
南極と北極、どちらにも起こる現象ですが、起きる時期に違いがあります。
南極の白夜は12月頃あ中心で、極夜は6月頃が中心です。
対して、北極で白夜が起こるのは6月頃が中心、極夜が起こるのは12月頃が中心になります。

南極と北極の氷の違い

南極と北極では、氷の生まれた場所にも違いがあります。
南極の氷は大陸上に雪が降り積もってできた「氷床」で、その厚さは数千メートルにも及びます。氷床から流れ出た「氷河」が海に流れ込んだり、あるいは巨大な氷床そのものが海に割りいる場合もあります。その場合は良くテレビで見る巨大なタンカーのような「棚氷」として海を漂うことになります。南極の氷は陸上で生まれたものが主役です。
対して、北極の主な氷は、海水が冷やされて凍った「海氷」と呼ばれる氷で、厚さは数メートルしかありません。北極には陸地がありませんから北極の氷は海生まれとなります。
※南極でももちろん海氷は生まれます。

歴史の違い

南極と北極では、発見されてからの歴史にも違いがあります。
南極が人類に確認されたのは、1820年頃で、南極点に到達したのは、1911年12月14日にノルウェーの極地探検家のアムンゼンにより達成されました。
対して北極探検の歴史はかなり古く、紀元870年には北極が見つかっていたとされています。人類が北極点に到達したのも南極より早く、1909年4月6日に、アメリカ人のロバート E ピアリーが北極点に到達しとされていますが、捏造という噂もあります。
もし、これが本当に捏造なら1926年のアムンゼンの横断飛行まで時代が下がります。

法的扱いの違い

南極大陸は、どこの国も属さないことを南極条約にて定められています。
1959年に締結された南極条約で、南極を自国の領土と主張することが禁じられているのです。
そのため、現在も世界各国の観測基地が設置されています。
対して、北極は、大陸ではなく大半が北極海です。
この北極海は、国際法上では「公海」という位置づけがされています。
公海というのは、いずれの国の領海または内水にも含まれない海洋を指します。
また、南極とは異なり、周辺国の領土の一部も含まれている点が、大きな違いと言えるでしょう。

南極と北極の動物の違い

南極と北極では、棲息する動物にも違いがあります。
イメージしやすい動物で言えば、南極ではペンギン、北極ではシロクマではないでしょうか。
では反対に「南極にシロクマ、北極にペンギンはいるのか?」「南極や北極にはどのような動物が生息しているのか?」などについて、以下で解説します。

ペンギンがいるのは南極

氷の上で暮らす動物として代表的なペンギンですが、ペンギンが暮らしているのは南極だけです。
北極にはペンギンはいません。
北極にペンギンがいない理由については諸説ありますが、南極の暮らしがペンギンに適しているからと言われています。
環境的には北極でも暮らせますが、ペンギンが北極に行くには、赤道を超えて移動しなければいけません。
しかし、暖流の流れる熱帯の海は、栄養分が少なかったり、サメのような天敵がいたりするために、移動できなかったとされています。

南極に住む動物と北極に住む動物

南極は寒い上に標高も高いので、陸地のみで暮らしている動物はほとんどいません。

ペンギンも同様ですが、陸地で暮らしながら、海の中も泳げる動物です。

南極で暮らしている主な動物は、「オットセイ」「アザラシ」「ペンギン」「クジラ」など。

しかし、生息している動物の数で言えば、北極の方が多いです。

北極に生息している主な動物は、以下のとおり。

  • ホッキョクグマ
  • ジャコウウシ
  • クラカケアザラシ
  • トナカイ
  • ホッキョクキツネ
  • ホッキョクウサギ
  • ホッキョククジラ
  • シロイルカ

など

数え上げればキリがないほど、北極には多くの動物が生息しています。

ちなみに、南極にホッキョクグマ(シロクマ)が生息していないのは、単に、北極と南極が繋がっていた時期がないために、南極へ行けなかったことが理由とされています。

南極と北極はかなりの長距離になるので、クジラなどの海を泳ぐ動物や、鳥のような空を飛べる動物でなければ辿り着くのは難しいのです。

ただし、もしホッキョクグマが南極に辿り着いた場合でも、問題なく暮らせると言われています。

植物の違い

南極、北極のような寒い場所でも、植物は育ちます。
ただし、動物と同じように、育つ植物にも違いがあるのです。
北極においては、一部地域で「ホッキョクミミナグサ」「オニイワヒゲ」「タカネマンテマ」など、900種類以上の植物が育ちます。
対して、南極では、北極のような背丈の高い植物は育ちません。

しかし、根・茎・葉といった各器官が未分化の下等植物たちが多く生息していると言われています。
いわゆる「藻類」「コケ類」「地衣類」などです。
ただし、南極では2種類の花も確認されています。

1つは、「ナンキョクコメススキ」という花です。
ナンキョクコメススキは、イネ科の植物で、低温の地域でも適応できる力強さを持っています。
花は咲きますが、サイズは非常に小さいです。

もう一つは、ナンキョクミドリナデシコという花です。
ナンキョクミドリナデシコは、3cmほどのたかさで、花弁のない花を咲かせます。
南極という環境下に置かれながらも自家受粉する割合が高く、発芽率が高いです

南極と北極のどちらが良い?

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ネイチャーガイド今長谷

南極も北極も気温が低く、真っ白な氷が拡がる風景なので、どちらに観光に行くべきか迷ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、南極にも北極にも、それぞれの魅力があるため、一概にどちらが良いとは言い切れません。

あえて選ぶのであれば、動物観察をメインにするのであれば北極。
動物だけではなく、氷上の神秘的な風景も楽しむのであれば南極がおすすめです。

ただし、生息している動物も異なるので、単純に「ペンギンが見たいか、ホッキョクグマを見たいか?」といった点で観光先を決めても良いかもしれません。
それぞれに違いはあるものの、どちらの方が楽しい、どちらの方が魅力的などと言い切ることはできないので、ご自身の目的や趣味趣向に合った方を楽しんでください。