南極ではなぜ風邪を引かないの!?南極のウイルス事情

南極ではなぜ風邪を引かないの!?南極のウイルス事情

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ネイチャーガイド今長谷

ネイチャーガイドの今長谷です

南極では、風邪をひかないと言われています。
その理由は、そもそもウイルスが存在していないためです。
ウイルスが存在していない理由として「寒さで菌が生きていけない」という観点もありますが、実際にはどのような理由があるのでしょうか。
そこで今回は、南極のウイルス事情について解説します。

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南極で風邪をひかない理由

南極で風邪をひかない理由は、ウイルスがいないからです。
しかし、ウイルスがいないのは寒いからではありません。
単純に南極に人がいないからだと言われています。
風邪などのウイルスというのは、人の体を媒体して活動しますが、南極にはそもそも宿主となる人間がいないのです。
また、人間がいないために、菌やウイルスが舞っていないのも一つの理由。
そのため「寒さで菌が生きていけない」というのは、誤解なのです。

南極で風邪を引く可能性はある

南極で全く風邪を引く可能性がないかというと、答えはNOです。
南極でも風邪を引く可能性はあります!
では、なぜ「風邪をひかない」と言われている南極で風邪を引いてしまうのか、その理由について解説します。

南極で風邪を引くのは出発前の潜伏

南極で風邪をひいてしまう例として、出発前に菌が潜伏しているケースがあります。
菌が潜伏していて、南極到着後に発症してしまうケースです。
ただし、このケースはかなり稀です。
南極に行く際は、外からの菌などを持ちこまないように徹底されており、体調不良の場合は南極旅行に行けません。
風邪の他、虫歯や水虫などの菌も治療しなければ行けないほどなので、南極に風邪の菌を持ちこんでしまうケースはほとんどないと考えて良いでしょう。
ただし、あくまで人がいないために風邪を引かないので、もし南極に人が住み着くようになれば、風邪などを引いてしまう可能性はありえます。

南極にはほとんど菌がいない!

南極には、風邪以外の菌やウイルスもほとんど存在しています。
南極の空気はとても綺麗で、白い息すら見えないほどです。
また、南極地域観測隊の隊員は、徹底した体調管理や検査を行った上で上陸しているので、菌を持ちこんでいる可能性がありません。
実際にどれほど空気が綺麗なのかは、南極観光に行けば体感できるでしょう。

そもそもの風邪の原因はウイルス

ここまでで「風邪を引きにくいことはわかったけど……それでも寒さから風邪を引いてしまうのではないか?」と疑問に思った人もいるかもしれません。
しかし、風邪というのは、寒さだけで引くものではないです。
あくまで寒さというのは、人間の免疫力を弱めてしまうものであるため、ウイルスがなければ寒くても風邪を引きません。

南極のコロナ事情

ウイルスと言えば、2020年から世界中でまん延した新型コロナウイルスについて気になる人も多いでしょう。
しかし、南極は他の大陸と隔絶されているために「世界中で唯一コロナウイルスのない大陸」と言われていました。
実際に、日本の南極観測隊はこれまでどなたもコロナにかかっていないと聞きます。
ただ、残念ながら他の国の南極基地で、コロナ感染者が発見されてしまいました。
肝心なのは体調を整えて、持ち込まないこと!ですね

2020年12月にコロナ感染

2020年12月、南極大陸で初のコロナ感染者が確認されました。

コロナに感染したのは、チリ軍が設置している南極のオヒギンズ基地内です。
当時のニュースによると、その週だけで36人も新型コロナウイルスに感染したとされています。

ただし、重症患者は出ていないとのことです。

チリ軍によると、初の感染は兵士2人で、今月半ばに報告された。感染者はすでに隔離され、重症患者は出ていないという情報です。 地球上で最も遠隔地にある南極の観測所や軍事基地では、これまでコロナウイルスを持ち込まないよう観測活動の規模縮小や観光の中止などあらゆる措置が講じられていました。

引用元:南極で初の新型コロナ感染 最北端近くの基地で36人|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

とはいえ、コロナウイルスの脅威も落ち着いてきた昨今では大げさに心配する必要はありません。
先述したように、南極へ行く際には、徹底した体調管理や検査を徹底していますし、そもそも菌が生息しづらい環境です。

そのため、コロナウイルスによる影響が落ち着いてきた昨今では、感染の可能性はほとんどないと言えます。

南極は歯に注意!

南極では菌やウイルスがほとんどいないと解説しましたが、唯一、歯には気を付けましょう。
ただ、これは虫歯菌による虫歯に注意した方が良いということではありません。
南極は水が貴重であるため、歯を磨くこと自体難しいと言われています。
また、寒さによる歯の収縮率で、歯の詰め物がとれてしまうことがあるそうです。
南極にいる間であれば問題ないかもしれませんが、そのままにしておくと、帰国後に虫歯となって痛みを発症してしまうかもしれません。

南極の菌に関する法律

南極は、菌に対してかなり厳しく定めています。

「南極地域の環境の保護に関する法律施行規則」では、以下の文言が沢山記載されています。

  • 当該地区内に持ち込む全ての物品を洗浄又は滅菌すること等により、動物、植物又は微生物の偶発的な移入を防ぐこと。
  • 滅菌していない土壌とともに持ち込むものでないこと。(食用に供するために酵母その他の菌類又は植物を持ち込む場合)

(参考元:南極地域の環境の保護に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索 から抜粋)

服装や持ち物だけではなく、植物や食品においても徹底されています。

南極へ行く際に気を付けるポイント

南極へ行く際は、旅行者が菌を持ちこまないようにすることも大事です。
菌を持ちこんでしまうと、南極の生態系が崩れてしまう可能性があります。
南極旅行へ行くときは、以下4つのポイントを必ず守ってください。

衣類を徹底的に調べて綺麗にする

南極に出発する前は、衣類を徹底的に調べて綺麗にしましょう。
菌などの外来種は、衣類の至るところに付着しています。
マジックテープや裾の折り返し部分、靴の隙間なども注意しなければいけないポイントです。
出発前は、必ず細かい部分までチェックして、徹底的に洗ってください。

道具は清潔なものを持っていく

南極に持っていく装備も、綺麗にする必要があります。
特にアウトドアグッズには注意です。
他の場所でついた泥や有機物が付着している可能性があります。

靴や衣類の除染処置を行う

南極に到着したら、靴や衣服の除染処置を行いましょう。
離れた地域から南極へ上陸した場合、菌などの外来種を持ちこんでしまう可能性があります。

これからもウイルス感染のない南極であるために

南極が風邪をひきにくいのは、ウイルスがほとんどいないからだとわかりました。
しかし、これは、今までの人々が南極に菌を持ちこまないように徹底しているからです。
もし今後、人々のマナーやルール違反によって菌やウイルスを持ちこんでしまうと「南極で風邪をひかない」状況はなくなってしまうかもしれません。
いつまでも綺麗な空気の南極として残すために、旅行者も徹底した対策を行ってください。