念願の南極旅行 – そこは動物たちの王国だった
今回の世界探訪は、「南極大陸」です。映画「南極物語」で見ていた頃は、とても行けない厳しい場所でしたが、今では様々な規制はあるものの旅行として訪れることができる場所となっています。ペンギンにクジラ、アザラシといった動物たちの王国である南極、昔から憧れていました。では、しばし南極の旅にお付き合いください。
念願叶えるためついに南極への旅に出た。
昔からの夢だった南極旅行
旅の行程は長いが、それ以上の感動が南極にはあった。
北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、アジア、そして南極
7大陸と呼ばれる大陸が地球上に存在する。
私はその7大陸の一つに上陸を果たせないでいた。
残りの一つは南極大陸だ。
子供の頃からずっと夢見ていた。
「地球上に存在する7つの大陸に上陸する」
日本から南極大陸まで飛行機でひとっ飛びというわけにはいかない。
飛行機を乗り継ぎ、さらに船に乗って数日かけて向かわなければならない。
南極大陸は最後に上陸すると決めていた。
今まで神秘的な光景や滅多に出会えない動植物を見てきたが、どうしてもまだ納得がいかない。
どれも素晴らしい貴重な経験だったが・・・
「でも・・・まだ夢を叶えてない」
そして、私は遂に七つ目の最後の大陸に向った。
長い船旅を終え、ゾディアックボートに乗り込んだ。
すでに目の前に漂う流氷や氷の世界が見えている。
ペンギンやアザラシが目の前で生命を燃やしている。
「もうすぐだ・・・もうすぐ」
今まで訪れた場所とは全く違う。
こんな世界が地球上に本当に存在するなんて信じられない。
そして、私を乗せたゾディアックボートがゆっくりと大陸に近づいていく。
ボートを大陸に着岸すると、ガイドが私の手を取り、上陸を支えてくれた。
「長かった・・・今日までどれくらいの年月が経っただろう」
夢見てから今日まで、私は沢山のことを考え、沢山のことを経験してきた。
その中で、何度もこの瞬間を思い描いた。
一歩、また一歩と私は大陸を足で感じとる。
そして、10歩ほど歩いたところで私は立ち止まった。
「ここは南極大陸なんだ」
そう思った瞬間、今までずっと押し止めていた感情が湧きあがってくるのが分かった。
「遂に長年見てきた夢が叶った」
目から涙が溢れてきた。願った時間、ここまでの長旅の分だけの感動がそこにあった。
南極へ旅行に行くなら11月から3月がベストシーズン
今長谷
南極に行くなら、11月から3月がベストシーズンです。特に私たちがオススメをしているのは2月から3月初旬にかけてです。なぜなら2月から3月に南極大陸に行くと、ペンギンの雛が大きく育っている姿を見ることができます。南極と言えばやはりペンギン。野生の彼らが子育てを行う姿こそが南極そのものを実感させてくれます。
南極に対する皆さんのイメージは極寒の大地で全身が凍りつくイメージだと思います。実際に世界の地上の最低気温が記録されたのは南極にあるロシア(当時はソビエト連邦)の基地で1983年に記録された-89.2度と言われます。(因みに地上ではなく氷原上では-93.2度という記録が南極にはあります)
日本の昭和基地の映像も南極のすさまじい寒さを我々に教えてくれます。
では、南極は一年中極寒なのでしょうか。答えはNOです。
広大な南極大陸ですから場所に寄っては夏にはかなり寒さが緩みます。特にその形と比較的穏やかな気候から「南極のバナナ」と呼ばれる南極半島の夏の気温は0℃を越し、雪ではなく雨がふることも珍しくありません。
因みに南極の夏は場所にも寄りますが11月後半~3月前半。
この時期が南極への旅の最適な季節なので、南極への旅のほとんどがこの時期に集中します。
私が訪れた南極半島は緯度が低い場所にあるので12月から3月は割と暖かいです。天候が良ければ5℃という日本の冬の温度ぐらいまで気温が上がります。
日本からアメリカまで飛行機で12時間、アメリカから南米アルゼンチンのブエノアイレスまで飛行機で12時間ほどかけて移動します。ブエノスアイレスに一泊し、ブエノスアイレスから船の出発点で世界最南端の街・ウシュアイアまで飛行機で3時間の旅です。ウシュアイアに着くと、クルーズ船「オーシャンエンデバー号」に乗船して2日間ほどかけてドレーク海峡を越えて南極大陸の一部の南極半島の先端に向かいます。
南極には何がある?南極旅行最大の目的はその大地を踏みしめること
船でアプローチが可能な北極点と違い、南極点を訪れる一般的なツアーはありません。
大陸ですから南極大陸の大地を踏むこと自体が旅の最大の目的の一つになります。
南極半島では南下するほど南極のイメージ通りの風景が広がりますし、南極半島にかかる南極圏までさらに南下するのを旅の目標の一つにする方もいます。ペンギンやアザラシなど南極らしい動物たちが多く住むのも南極半島の魅力になります。
南極への行き方は、各大陸の南端から飛行機か船で
日本から直接南極に行くことは出来ませんから、各大陸の南端から飛行機か船で南極大陸を目指します。
南半球の南アフリカ、オーストラリアやニュージーランド、そして南米のチリやアルゼンチンなどから渡ることが可能ですが、いずれの場合も定期便(定期船)はありません。
天候に大きく左右され、滞在時間も滞在地にも制限がある飛行機よりも船で訪れる方が殆どです。
一番移動距離が短い南米~南極大陸でも1500キロの距離がありますから、船で最低でも2泊することになります。アルゼンチンから訪れる南極半島は移動距離が最も短く、しかも気候も穏やかということで殆どの南極大陸への旅はこのルートで南極上陸を実現します。
【行き帰りは快適で充実したクルージング】
南極条約という世界の国々で締結した決まりがあり、南極大陸に上陸するのは1度に100名のみです。大型船で行った場合は、交代で100名ごとに上陸するため、順番待ちが大きなストレスになりますし、上陸機会も少なく、上陸時間も限られたものになります。折角はるばる南極に行くなら少しでも多くその大自然、その絶景を楽しみたい。そこで、今回の旅では極地クルーズ専用の小型船「オーシャン・エンデバー号」に乗って向かいます。定員は200名。100名が上陸し、残りの100名はゾディアックボートで南極の流氷やその上で生活する動物を見るクルーズをして、時間が来たら交代。一瞬も無駄な時間なく常に南極を楽しめるベストサイズの船です。
南極では他にも決まりがあり、現地にいるペンギンやアザラシ、オットセイなどに触れることや近づくことは禁止されています。ペンギンから近づいてきた場合などは例外です。
オーシャン・エンデバー号の話に戻りますが、行き帰りに4日間、南極で4日間の合計8日間船の旅になりますが、このクルーズ船の生活は非常に快適です。
豪華客船クルーズではなく、エクスペディションクルーズと呼ばれる探検クルーズですから船内での服装はカジュアルで大丈夫です。船外活動も黄色いパルカという完全防水の防寒上着を無料で頂けますので基本的に日本の冬服を準備するだけで大丈夫。このパルカはもちろんお持ち帰りOKですからスーツケースにその分の余裕を見ておく必要があります。冬用の帽子や手袋(それぞれ2組)、防水性のズボン(無ければ暖かいズボンにカッパ)は必要になりますが、いずれも日本の冬に使うようなもので充分です。
パルカ
貸し出しのブーツ(長靴)
※手袋、靴下、帽子は厚めの物を2セット以上用意してください。なぜなら午前中の観光で濡れてしまった場合に、午後から行くときに替えがきくようにです。靴は現地で長靴を貸してくれます。
食事は朝食と昼食はビュッフェ、夕食はビュッフェか、前菜からメイン、デザートまでいくつものチョイスから選ぶアラカルトになります。いずれも毎日飽きが来ないように工夫された美味しい食事を楽します。そしてお酒を飲める人には非常に嬉しいビールやワインは飲み放題です。
部屋は個室から2人部屋、さらに3人部屋まで選ぶことができますし、部屋のサイズや階数などでランクも色々。ゴージャスで広いスィート、さらにお得な3人部屋の相部屋など予算に合わせてということになります。
各部屋にシャワー、洗面、トイレが付いていますし、快適な空調設備も完備されています。のどが渇けばコーヒーステーションでいつでもコーヒーやお水を無料で頂くこともできます。
今長谷
南極大陸に向かう最中、船内で南極についての講義が行われます。もちろん日本語ではなく全て英語です。英語では全然理解できないと思う方もいらっしゃると思いますが、私がお勧めするクルーズには専門の知識を持った日本語通訳が同行するので安心してください。
講義の最中に日本語に通訳をしてくれたり、全く別枠で日本人だけの講義を企画してくれる場合もあります。
講義では動物や歴史、気候の話などを勉強します。予習しているかどうかで、南極での体験は大きく変わるので、船の中でしっかり勉強することをおすすめしています。
念願の南極大陸上陸に感動!
南極に港はありませんから上陸するにはクルーズ船からゾティアックボートに乗って陸地に向います。波が高い場合は様子を見たり、場所を変えたりしますから安全は確保されています。乗船下船はスタッフがしっかりサポートしてくれます。それでも船の上ではしっかりと固定ロープを握っておくことは重要です。少し波が高い時は濡れることもあります。
ゾティアックボートはエンジン付きのジェットボートで、かなりの速度で疾走します。顔には南極の海風があたり、天候によってはかなり寒くも感じます。ただし、乗船時間は陸地に向う場合でおよそ5~10分程度。凍えたり船酔いする心配はございません。
大陸に乗り付けて、ガイドが南極の旗を持って迎えてくれます。石や荒い砂浜があり、上陸地点に夏の季節は氷はありませんから安心です。上陸した後は雪山をのぼったり、丘にのぼったりして自由に楽しみます。座って景色を楽しむのも良い時間です。沖合に浮かぶ我らが母船のオーシャンエンデバーや氷河の風景も絶景です。風は時に無風、そして時に少し強く冷たく日本の冬を思わせます。
写真が好きな人はペンギンやカモメなどの鳥達やアザラシなど動物たち、今まで見てきた氷河とはサイズが全く異なる氷河、運が良ければ氷河が崩れ落ちる瞬間の写真を撮ることができます。南極に行ったら誰でも写真好きになる。それほど南極は他とは違う風景に満ち溢れています。
海岸を歩けばクジラの骨が打ち上げられて野生を感じる場所もあり、今でも現役や嘗ての南極観測基地も訪れます。
旧イギリス基地のポートロックロイの内部は博物館のようになっていて無線装置や観測機器とともに隊員が生活した寝室も公開されています。長期間にわたって家族や恋人と遠く離れて仕事をしていた彼らが何を考えていたかは壁に描かれた絵でも分かります。どんな絵なのかは現地でご確認ください。また、ここにはお土産屋と郵便局もあります。南極ならではのお土産を買ったり、日本への絵葉書を南極から出すことは一生の思い出になります。絵葉書がいつ日本に着くかもお楽しみです。
南極で出会える野生の動物たちと、唯一無二の大自然
【野生のペンギンたちの生きていく、親子愛を感じさせる姿に感動】
南極に着いたら、まずはペンギン達の生活の様子が印象的です。
クルーズ船からゾディアックボートに乗り換えて陸地に近づくとペンギンたちの営巣地の独特の匂いがしてきます。ここで生まれ子供を育てる場所ですから野生の匂いがするのも当たり前。日本の動物園で見るペンギンとの違いを強く感じる瞬間です。慣れてくるとクルーズ船の甲板にいてもこの匂いで営巣地があることを知るほどです。上陸すると、すぐ側で沢山のペンギン達が生活しています。この時期の南極半島で見ることができるペンギンの種類はゼンツーペンギンやアデリーペンギン、ヒゲペンギンの主に3種類です。
ゼンツーペンギンはとにかく数多く生息していて、みんなで固まって過ごしているのが印象的です。南極半島を代表するペンギンで、忙しなく鳴くことは耳に響きます。2月はまさに子育てもクライマックスを迎えていて親子で追いかけっこしているのは大体このペンギンです。
雛鳥の羽毛が成鳥の羽に生え変わる最中の様子が良くわかる時期でもあります。猟を終えて巣に戻ってきた親鳥の口の奥深くに雛がくちばしを突っ込んでオキアミを口移しで食べる姿はまさにザ・野生です。
アデリーペンギンは小型で、顔が細く鋭い形、頭は少し三角形と愛くるしい姿です。他のペンギンより子育ての時期が早いため2月になると既に海に帰ったものも多く、そんなに多くの数を見ることは出来ません。
ヒゲペンギンは顔に顎ヒゲが生えているように見えるので和名ではそのように呼ばれますが、英語ではチンストラップペンギン、つまり顎紐ペンギンと呼ばれます。髭より顎紐の方が可愛く感じます。非常に好奇心が強くゼンツーペンギンの営巣地にわざと入り込んで、かき乱す姿を見ることもあります。人にも近寄ってきます。
ネイチャーガイド今長谷
野生のペンギンは動物園のペンギンとは迫力が全然違います。別の生き物と言っても良いでしょう。
いつ自分が天敵の餌になるかわからない世界で生きています。海の中ではペンギンを捕食する動物達が待ち構えていて、実際にペンギンが捕食されるシーンを目の当たりにもしました。まさに生きるか死ぬかの厳しい生活です。トウゾクカモメ(盗賊鴎)が小さい雛のペンギンを連れ去ろうとして、親鳥たちが戦いを挑むという野生の光景を見ることもあります。
親子の教育も見ることができます。親ペンギンが雛ペンギンにわざと餌を与えずにその場から逃げていき、それを雛ペンギンが追いかけることで運動能力が鍛えられるのです。また、まさに子の成長を見る瞬間もあります。親が雛を残して海に飛び込み、雛が親を追いかけて海に飛び込む巣立ちの時です。
ネイチャーガイド今長谷
南極条約でペンギンの5m以内に近づくことは禁止されていますが、ペンギンは人を恐れることはなく、ペンギンの方から近寄ってくることがあります。そんな時は絶好のシャッターチャンスです。
【青の世界の神秘とそこに生きる生命の力に感動】
南極では上陸に加えてゾディアックボートに乗ってクルーズも楽しみます。陸地に広がる美しい氷河や海に向かって流れ込む氷河は真っ白で光によっては青く輝きます。そのサイズはこれまで見てきた氷河を全く問題にしないほど巨大です。
海に浮かぶ海氷は小さな氷から、蓮の葉氷、さらに巨大な流氷と様々です。海面の上に出ているのは氷全体の10%程度で、残りの90%は海の中。如何に氷山が巨大なものかが分かります。氷山にはいくつもの線が刻まれています。徐々に解けて行く過程でバランスが変わり、かつての喫水線を表しています。時には雷が落ちるような音で氷河が海に崩れ落ちる瞬間や、氷山がバランスを変えてをひっくり返る姿も目の当たりにします。
クルーズでは動物たちも見逃せません。氷山の上にはカニクイアザラシやそれを捕食するヒョウアザラシがなどが昼寝しています。ゾディアックボートは本当に彼らと目が合うほどの距離にまで近づいてくれます。
乗船時間は1時間を越しますからパルカの下にはしっかりと温かい服を着ておきます。波が高い状態でのクルーズは行われませんから船酔いすることもまずありません。
アザラシを見ても南極の生活の厳しさを感じることができます。
例えば、カニクイアザラシの体にはヒョウアザラシに襲われた傷が殆どの場合で残っています。ヒョウアザラシは南極の生態系のトップで、蛇のように口が吊り上った顔でペンギンやカニクイアザラシを捕食する南極の帝王です。
南極の海でアザラシやペンギンの他に、クジラを間近で見ることは珍しいことではありません。ミンククジラやザトウクジラが泳いだり、大きなジャンプ(ブリーチング)をしたり、突然海面から大きな口を広げて魚を一気に食べるバブルフィッシングする姿は大迫力。
彼らとの距離は時に潮を吹く息吹が間近で聞こえるほど。
子供と一緒に泳いでいるクジラを見かけることもあります。クジラとの至近距離での遭遇はペンギンと並んで南極のハイライトの一つです。
今長谷
風景もやはり最高。まさに手つかずの自然美が広がっています。美しい山と氷河、そして海氷が流れる風景が楽しめる「ルメール海峡」は南極で最も美しいと言われます。また、天候が良ければ入江の全体が氷河に囲まれた「パラダイスベイ」も見所です。
【ストレスの少ない南極クルーズの船旅を選ぼう】
これだけは絶対に妥協してはいけない南極クルーズ選びのポイント!
南極クルーズは欧米系のクルーズ会社を始め、いくつもの会社がクルーズを組んでいます。クルーズにはそれぞれ特徴があり、クルーズ期間も目的地も違いますし、食事を含む船の設備にはかなり差があります。また、南極という特殊な場所を訪れますから、安全面や案内レベルに繋がるクルーズスタッフの習熟度は特に重要です。
利用する船も色々で、大型の豪華な設備を誇るクルーズ船もあれば、南極など極地クルーズに特化した小型~中型のクルーズ船もあります。
日本では最近豪華な設備や雰囲気を楽しむクルーズの旅が人気ですが、南極クルーズならではの注意点をご案内しましょう。大型のクルーズ船の豪華なクルーズを楽しむのか、中小型のクルーズ船で南極上陸自体を楽しむのかは旅の目的を左右する大きなポイントになります。
南極上陸をたっぷり楽しみたいなら、中小型のクルーズ船がオススメ
南極大陸には南極条約により一度に100人しか上陸できません。豪華な大型のクルーズ船に載っても、肝心の南極では長時間の順番待ち、さらに、せっかく順番が来てもあっという間の短い上陸時間で大変なストレスを感じます。今回ご紹介したクルーズは小型のクルーズ船ですので参加者の乗船定員は200人。ゾディアックボート(ゴムボート)での南極海クルーズと上陸を100名ずつの交代制で楽しみますから、基本的に待ち時間なしで200名全員が常に素晴らしい南極の自然の世界を楽しめます。待ち時間がないのでクルーズも上陸もたっぷりとお楽しみ頂けるわけです。上陸&クルーズは午前午後で1セットずつの1日2回。4日間の南極半島滞在中に合計8回という充実度は他の南極クルーズにはない特徴です。上陸をたっぷり楽しみたい方には、南極クルーズで参加者の定員200名が越すクルーズはお勧めいたしません。
英語が苦手ならインタープリーターは必須です。
すべてが未体験の南極の旅で必要不可欠なのはインタープリーターの存在です。往復の船内では南極の旅を豊かにしてくれる講義が開かれます。もちろん、その講義は全て英語。その講義を分かり易く日本語で案内してくれるのがインタープリーター(通訳)です。
通訳はトランスレーターとも訳されますが、英語が得意な添乗員さんや一般的な通訳者では全く太刀打ちできないほど学術的な講義です。十分な専門知識と経験がないと南極クルーズでの通訳には不十分なのです。専門的な知識と経験を持つ通訳、つまりそれがインタープリーターです。私が添乗するクルーズには南極で100回以上のガイド経験を持つインタープリーターが同行します。
もちろん、インタープリーターは船内生活をサポートするスタッフではありませんが、どこの南極クルーズに参加してもレセプションに日本語スタッフがいないことを考えましたら、日本語で相談ができる方の存在は本当に貴重です。英語ができない方には、南極クルーズでインタープリーターが乗船しないクルーズはお勧め致しません。
不安があるなら日本から添乗員が同行する南極クルーズツアーがベター
そして、南極という特殊な地域を訪れるので南極の自然や天候、さらに港がない南極にお客様を上陸案内する上で必要な特殊な技術がスタッフに必要とさます。しかしながらクルーズ船のスタッフに日本人はほぼ乗船していません。船内案内やフロントスタッフの案内は英語で行われます。その意味で日本の旅行会社によるチャータークルーズや、日本から添乗員が同行して案内するクルーズツアーの人気が高いのも南極クルーズの特徴です。
クルーズを行うアメリカのクオークエクスペディション社は南極クルーズをはじめとした極地クルーズ専門の会社。世界で唯一無事故表彰をもらっている会社で安心の航海を楽しむことができます。
南極旅行の費用はいくらくらい掛かる?
添乗員ありなしが大きなポイント
さて、一番気になるのはやはり料金でしょう。利用するクルーズ船により料金は大きく異なります。また、日本の旅行会社が手配から現地まで案内する添乗員同行のいわゆる募集ツアーと、添乗員は同行しない手配旅行でも料金には差が出ます。
ここでは極地クルーズでは世界的なリーダーと言われる「クォークエクスペディション社(アメリカ)」の2021~2022年シーズンの料金を元に比較します。(尚、航空運賃は未発表ですので2020年2月の料金を参考にしています)
添乗員ツアー代金は神戸新聞旅行社主催(連絡先 ㈱ブループラネットツアー)の募集ツアーの代金です。
利用する船は中型クルーズ船で定員は200名。すべてのお客様が同時に南極上陸かゴムボートクルーズを楽しめる南極で最も評判が良いクルーズです。
それでは2022年2月13日~23日 南極探検クルーズ11日間「オーシャンダイヤモンド号」利用
主な目的地 サウスシェットランド諸島と南極半島観光(現地4日間滞在)
の場合を比較します。一例として参考まで。
添乗員なし・個人手配旅行(アルゼンチン・ウシュアイア発着・お一人当たり)
クルーズツアー料金 | トリプルルーム 99万円~ ツイン(角窓) 148万円~ スィート 159万円~ バルコニースィート 165万円~ シングル 170万円~ 船や時期に寄ります |
料金に含まれるもの | ●11日間クルーズ参加料(乗船中のすべての食費(計26食)を含む) ●ウシュアイア・前泊代金(朝食付き) ●混載連絡バス (空港~ホテル、港~ホテル) |
料金に含まれないもの | 〇船内チップ(約13000~15000円/人) 〇添乗員経費 〇全ての航空代金(266,160円 成田~ウシュアイア・エコノミークラス・往復 2020年2月実績) |
キャンセル料金 | 出発の180日前から所定の取消料がかかります。 |
添乗員同行・募集ツアー(アルゼンチン・ウシュアイア発着・お一人当たり)
クルーズツアー料金 | トリプルルーム 135万円~ ツイン(角窓) 178万円~ スィート 185万円~ バルコニースィート 195万円~ シングル 198万円~ 時期やクルーズ船などに寄ります。 |
料金に含まれるもの | 11日間クルーズ参加料(乗船中のすべての食費(計26食)を含む) ウシュアイア・前泊代金(朝食付き) 混載連絡バス (空港~ホテル、港~ホテル) 日本(予定成田)から同行・ご案内する添乗員経費(日本発着 2/12~25 14日間) |
料金に含まれないもの | 船内チップ(約13000~15000円/人)全ての航空代金(266,160円 成田~ウシュアイア・エコノミークラス・往復 2020年2月実績) |
キャンセル料 | 出発の120日前から所定の取消料がかかります。 |
せっかく南極まで行くのですから、しっかり南極上陸を楽しんでもらえるクルーズを紹介しましたが、他にもツアーはたくさんありますし、他のクルーズ船もあります。
クルーズ船の選び方を参考に、目的に合ったツアーを選ばれてください。
なおブループラネットツアーでは、南極クルーズの手配旅行にも対応しています。
南極に行こうと思われたら、ぜひお声かけくださいね。
ネイチャーガイド今長谷
今回紹介した料金は、私が確認済みのインタープリーターが添乗する場合のツアー料金ですが、インタープリーターが添乗しないツアーもたくさんあります。また、同じツアーでも直接アメリカの船会社にネットなどで申し込んだ場合はインタープリーターのサービスは受けることが出来ない場合もあるようなので、要確認です!
添乗員付きのツアーなら、ぜひ私が企画したツアーもご検討くださいね!満足いただける南極旅行に努めさせていただきます。
【ちょっとしたお楽しみの時間】
旅の中ではお楽しみの南極海飛び込み大会が大陸を離れる前日の夕方にあります。体にロープを巻きつけて南極海に飛び込むという度胸試しです。飛び込む前は冷たさばかりが気になります。氷が浮かんでいる海ですから水温はゼロに近いのですから。
いざ、飛び込んだ瞬間はそこが海だったことを思い出させます。寒さよりも先に塩辛い水の味が印象的です。もちろん水はかなり冷たいです。海に入っている時間は10秒足らずで、海から上がると暖かい船のプールが待っています。日本人はあまり挑戦しない人が多いようですが、欧米からの参加者はまさに老若男女。失礼ですがかなりお年を召された女性も元気に飛び込んでいます。
皆さんも水着を用意して是非記念にトライしてみてください。
南極旅行Q&A
【南極旅行Q&A① 気候/温度】
ウシュアイア | 気温の目安 +3.5℃~+15℃ アドバイス 空気が乾燥していて寒く感じます。強い風が吹く事でも有名です。 体感温度は実際の温度よりも寒く感じます。ダウンジャケットなどをご準備ください。 |
南極 | 気温の目安 -10℃~+5℃ アドバイス 夏の時期ですが寒く乾燥しています。雪が降ることもあります。 寒さや雪、海水から身を守るために以下の装備をご用意ください。 |
船内 | 気温の目安 +23℃~+26℃ アドバイス 暖房が完備していますのでラフで快適な服装でお過ごしください。 足元はスニーカーやウォーキングシューズなどの履きなれた靴でお過ごしください。 尚、ドレスアップは不要です。 南極海飛び込み体験、あるいは南極海寒中水泳のチャンスがあるかもしれません。 水着もぜひご準備ください。 |
【南極旅行Q&A② お金について】
出発前 | 南米ではアメリカドルが流通しています。 基本的にはアルゼンチン通貨『ペソ 2.43円/ペソ(2019 年4月現在)』への両替は必要ありません。また、船内通貨はアメリカドルです。額面の大きな紙幣ばかりではなく、小額紙幣も是非ともご準備ください。 アメリカドルの両替は旅行出発前に日本国内で済ませたほうが、両替レートが一般的に良いと言われます。 尚、船内ではクレジットカード(VISA、MASTER、AMEX、DINERS)もご利用いただけます。 |
必要な金額 | 船内ではコーヒーなどはコーヒーステーションで自由に飲むことができます。また多くのクルーズでは夕食時などのアルコールやソフトドリンクも無料になります。 また、個人払いの船内チップが13~15ドル/日で請求されます。クレジトカードでお支払い可能です。 従って高額な南極旅行ですがクレジットカードがあればクルーズ中の現金のお支払いはほとんどございません。乗船前後のおこずかい/必要経費と、お土産代のみご準備ください。 |
【南極旅行Q&A③ 客室に着いて】
**オーシャンダイヤモンド号など**
(変更の場合がございます)
客室のアメニティ(備品) | バスタオル、フェイスタオル、ハンドタオル、石鹸、シャンプー、リンス、ボディソープ、ヘアドライヤー、バスローブ、スリッパが備わっています。 |
船内電圧とコンセント | 220ボルト/50ヘルツ。コンセントはヨーロッパ式の丸ピン2本(C型)ですからプラグが必要になります。 |
冷蔵庫 | お部屋に冷蔵庫がございます。 |
温度調整 | 各客室には温度調整装置が備わっています。 |
メイドサービス | 客室の清掃は毎日行われます。ご希望によりタオルも毎日交換可能です。シーツの交換は4日ごとです。 |
金庫 | 各客室には金庫の設備が備わっています。 |
冷飲料 | 飲料水はコーヒーステーションにご用意しております。客室内の洗面所の水は歯磨きには問題ございませんが飲料水としてご利用にならないようにお願いいたします。尚、レストランで用意されるお水は飲用です。 |
ランドリーサービス | 船内には客用の洗濯機の設備はございませんが、有料のランドリーサービスをご利用いただけます。一般のホテル同様に客室で出していただけましたら48時間を目安にお届けします。 |
【南極旅行Q&A④ 船内生活について】
船内での服装 | ラフな服装でお過ごしください。一般的な客船のようなドレスコードはございませんのでドレスアップは不要です。ディナーはもちろん、ウエルカムパーティーやフェアウェルパーティもラフな服装でご参加ください、フリースやセーターなどで充分です。靴は履きなれた靴やスニーカーでお願いします。 |
船内プログラム&アナウンス | 翌日のスケジュールの詳細、食事時間、見どころなどの情報満載の船内新聞はパブリックスペースに掲示されるほか、パブリックスペースのテレビモニターにも表示されます。また海上や氷上に珍しい動物などが出た場合や上陸の案内、スケジュール変更、気象状況などは船内放送にてお伝えします。 全て英語ですが弊社ツアーでは可能な限りに日本語版の船内新聞をお渡しいたします。また、船内放送もインタープリーターが日本語で案内致します(弊社ツアーの場合)。 |
緊急避難訓練 | 海上人命安全条約(SOLAS条約)により出航後24時間以内の訓練が義務付けられています。通常は乗船直後に行われます。弊社リーダーよりご案内しますので必ずご参加をお願いします。 また、乗船後は速やかに船室内の救命具の格納場所、船室ごとに割り当てられた救命ボート・集合場所もご確認ください。 |
クレジットカード登録 | 船内でのお支払い(船内チップ、お飲物代、切手代、ショップでのお土産購入)はクレジットカードで行えます。出発後に案内される期限までにクレジットカードをレセプションで登録して船内口座をお作り下さい。 尚、下船前にお支払い明細が配られてご確認いただくことができますのでご安心ください。 |
郵便 | 船内から出すことは可能です。はがき・手紙の右上に客室番号とローマ字でお名前を記入してレセプションにお持ちください。切手代は個人払いとして個人の口座に付けられます。尚、受取人までの到着には数か月を要することもあります。 |
美容室や図書館 | 美容室はございません。各船室にあるドライヤーをご利用ください。 図書館には南極に関する読み物などやボード・ゲーム類がございます。 |
船内ショップ | 南極クルーズの記念になるフリース、トレーナー、帽子、靴下などの衣料品や小物類をそろえています。個人の口座につけて、お買い物をお楽しみ頂けます。 |
ダイニングルーム | 朝昼夕の食事は全てダイニングルームにご準備いたします。お食事の時間はパブリックスペースに掲示、あるいはパブリックスペースのテレビモニターに表示されますが、探検上陸を優先するために時間を変更する場合もございます。 |
アルコールについて | 朝の遅い時間や午後のひと時、夕食後にはバーでお寛ぎいただけます。ウィスキー、シャンパン、ワイン、スピリッツ類をそろえております。尚、船室へのアルコール類の持ち込みはご遠慮いただいております。また、ご持参のボトルを食事へお持込になる場合は少額のコルク開栓料を頂戴します。 |
船内医療設備 | 英語を話す医師が常駐しています。基本的な薬剤などはございますが持病のお薬などは必ず持参頂くようにお願いいたします。 |
船酔いについて | 場合によってはかなり時化た海上を航行する場合がございます。プロメタジンという25mg錠剤には酔いに対して高い効能があること証明されています。ご心配な方は出発前にかかりつけの医師にご相談ください。 船内クリニックにも非常用として酔い止めのお薬を準備しております。 |
【南極旅行Q&A⑤ 南極上陸とクルーズについて】
南極の気候 | 夏でも太陽がさんさんと照りつけることもあれば雪が降ることもあります。予測がつかないのが南極の天気です。変化に対応できる服装が必要です。 |
服装 | 防寒上着(パルカ)をお配りしますのでご利用ください。下にはできるだけ空気の層を作るために重ね着のご準備をお願いします。濡れると乾きにくく冷たく感じる木綿はお勧めいたしません。ズボンは濡れる場合に備えて防水性のオーバーズボン、あるいはカッパをご準備ください。乗船後、膝下まであるゴム長靴もお貸しいたします。濡れた場合に備え、午前&午後の活動用に手袋と帽子は必ず2組はご準備ください。 |
上陸したら | スタッフがまず上陸して海と陸地の状態を確認して安全なエリアを確認してから行われます。 ゾディアックボートで上陸後、帰りの乗船時間をその場でご案内します。時間になりましたら上陸地点にお戻りください。ボートはその度に変ります。通常は各地点とも1時間程度の上陸時間がございます。ガイドが一緒に歩くわけではなく自由に散策して頂くことになります。ゆっくりと風景や動物たちの世界をお楽しみください。山や雪山などに登ることもできます。その場合はガイドが示したルートのみを歩き、禁止エリアには行かないようにお願いいたします。 尚、野生動物に近づける距離には南極条約によるルールがございますのでご協力をお願いします(ペンギンは5メートルなど)。 |
トイレ | 本船にお戻りいただくことになります(南極にトイレはございません)。かってに南極で済ますことは南極条約で許されませんので、お気を付けください。 |
クルーズ | ゾディアックボートに乗ってクジラやアザラシ、美しい氷河や氷山を探すゾディアッククルーズもお楽しみ頂きます。通常は上陸組とクルーズ組に分かれて乗船者全員が同時に上陸かゾディアッククルーズをお楽しみ頂くことになります。クルーズ中は動かないので上陸より寒く感じますのでしっかりとした服装の準備をして乗船してください。 |
写真撮影 | 上陸中は特に気を付けるようなことはありませんが、ゾディアッククルーズ中は濡れる場合がありますのでお気をつけください。クジラなどの野生動物の撮影用に200~500mmなどにお望遠レンズがあると楽しみも増えます。但し、手持ちでの撮影が多いのも事実です。 |
今長谷
いかがでしたか?南極への旅行は一昔前では考えもできないことでしたが、今では多くの方が訪れることが出来る場所になりつつあります。とはいえ、道中はやはり遠く気軽に行ける観光地というわけにはいきません。それだけに旅人は南極に憧れ、一度は行ってみたいと思うのでしょう。私もその一人でした。
来年もまた南極に行こうと計画しています。次はどんな南極に出会えるのか今から楽しみです。